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戻る場所

ひとに言えない哀しみを抱きしめたぼくは幸せだと思う
孤独のうたは山間にこだまし
いつもぼくのここに戻ってくる
でもそれは密かにあたためてきた誰にも言えない哀しみ
ぼくは天にも昇る

見覚えのある川だ
いつかだれかそこにある死体のような流れに

愛していると言ってほしかった
知ってるんだ
みんな自分だけを愛している
自分だけの哀しみを抱いている
そして戻る場所は
とても淫靡なところ
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16:10 | GOOD ! | comments (2) | page top↑

ふるえながら

不安定な空にボクを置いてきたんだ
もう会えないと知っていたらサヨナラぐらい言えばよかった
でもサヨナラなんてどこにでも転がっている
暖かな日差しが今日もそれを乾かしている
雪の中に埋もれたたくさんのサヨナラ
拾い集めて春は来たんだ

でもそれは愛だったんだよ
緑色のベンチはボクのお尻の下で笑っている
笑い声はどこかキミに似ていて
笑い声はどこかキミに似ていて

チャンスがあれば
ボクはもう一度あの街に行きたい
芝生の上に寝転んで見た
あの空がいい

ねえ?
もう一度歩いてもいいだろうか?
手をおおきくふって歩いてもいいだろうか?
背筋を伸ばし胸をはってもう一度歩いてもいいだろうか?
サヨナラなんてそこらじゅうに転がっている
新しいボクに声をかけてほしいんだよ
唄ってもいいかい?
ねえ?
もい一度唄ってもいいかい?
ボクはふるえている

ふるえているんだよ

03:07 | GOOD ! | comments (2) | page top↑

遊女と姦夫

ねぇ
君は心の病気なんだよ
きっとね

愚か者が根をはり
無信仰者が
空しい者を追いつめる
街は底の底
遊女は深い穴
見知らぬ女は狭い井戸だから

彼らの右手はわいろで満ちている
いばって歩くおんどり
裁きを曲げる 陪審員

屋根の上のひとりぽっちの靴
心は酔いどれの歌
タンバリンとパレード
水たまりに足

街角でキスをする 遊女と姦夫
ずっとずっと
寂しいキスをくりかえす
01:30 | GOOD ! | comments (4) | page top↑

セレモニー

側溝に流れている僕をみていた
かれはもうあきらめた顔をしていた

工夫をすればもっと生きられるのに
流れていくのがいいのだという
かれの唇がすこし動いたように見えた
だれになにを伝えたいのか?
聴きとることができない

風は春の香りを連れてきた
毎年くり返されるセレモニーのように
あんまりだろう?

見たくなかった
流れていく
だれだって痛いのだ
知らないだろう
23:55 | GOOD ! | comments (0) | page top↑

片道1000kmの道のりを

記者は誰かの死亡記事の締め切りで急いでいた
予想外の出来事でとてもあわてていた
デスクはイライラの極地になった
約束したデートに行けなくなったと
こころの奥で舌をならした
死亡したのが誰であってもよかった
著名な歌手の自殺などめずらしいことじゃない
ただこなすだけの仕事に不満などなく
流される自分をむしろ愛していた
言われたことをすれば褒めてもらえる
そこに自分を入れ込む必要などないのだから


社長は自分の子供が不登校だということを知らなかった
とうぜん悩み事の核心など知る由もない
なにを憎みなにに脅え何を探しているのかも知らない
要するにそんなやつに管理されている会社だからのびないのだ
社長は自分の子供に問いかけたという
「学校に嫌いなやつでもいるのか?」と
子供はあきれたような顔をして
「パパがいちばん嫌いだ!」と
大きな椅子に座ることの意味を考えたほうがいいな
高い所から見下ろす景色に酔いしれる暇があったら歯でも磨け
歯ぎしりの隙間からもれる完璧なる無知をさらして
茶番のような一日を明日も抱きしめるといい
家族を守ることのできないお前についてくる部下はない
会社を守ることのできないお前についてくる家族はない


これ以上嘘はつかないでほしいとみんなで手紙を書こう
出来なかったでは済まないと解っているならここで舌を切ってもらおう
約束はそれほど厳しいものだと命をかけて唄ったはずだ
こころ踊るような国にしてくれと頼んだわけじゃない
正義だけがまかり通るかたぐるしい話をしたわけじゃない
あふれ出る水を抑える手はいくらでもあるのに
やはり偉くなるとひとは下から湧き出る愛を聴かない
この茶番を子供たちによく見てもらうがいい
この失態を老人たちの耳にやさしくしずかに届けてほしい


死亡記事の締め切りに追われる記者がいた
子供に嫌いだと言われても気づけない社長もいる
無責任な顔をしてるが決してかれらは馬鹿じゃない
馬鹿の上にそれ以上の馬鹿がいるから
なんとなくつじつまが合う物語ができるのだ
不登校の子供よ 君はひとりじゃない
死んでいったカリスマよ さようなら
大きな椅子に座るピエロのような君よ 幸せに
この船の舵をとる愛に乏しきリーダーよ バカヤロー
おれはただ この片道1000kmの道のりを
無料で走ってみたいと強く強く願うのだ


おれはただ この片道1000kmの道のりを
無料で走ってみたいのだ
10:09 | GOOD ! | comments (5) | page top↑

君の声が聴こえる窓辺に
そっと花を飾ろうかな
それは名のない花で
控えめであればあるほど いいな
見上げれば吸い込まれそうな空に
つぶやくように咲く白い花
君が居たはずの窓辺に

やっと咲いた花は空を見上げ
風の強さを確かめる
風は心ない意地悪をして
からかうように 笑うのかな

ねえ できれば僕が寝ている間に
君をさらってくれないかな
出窓に散らばる花びらを見て
泪するなんて いやだもの
やっとの思いで咲いた花
そう 文句なしに美しい
外側に散る花びらと
内側に咲く何かがある
だから それは
控えめであればあるほど いいな
00:25 | GOOD ! | comments (9) | page top↑

詩人のうた

詩人は街の酒場で飲んだくれていた
身に覚えのある悪意を腹の底に抱いていた
くだらない店を何件もはしごした

冬になると詩人はマフラーを外し耳の鼓膜に鉛筆で穴をあけた
春になると憂鬱の影は輪を広げて幻想よりもっとでかい夢をみた

詩人は雨の道に寝転んでいた
かかとの隙間にうす汚い過去を連れていた
やるせない想いが拳を握らせた

夏になると詩人は靴を脱ぎ捨て砂漠の果てまで泳いでいった
秋になると人恋しさに淋しい淋しいと泣いた


03:59 | GOOD ! | comments (3) | page top↑
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