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ちいさくても滲みわたる声に

満足そうな鼻を持つ君に
水をさすようで悪いな
君の鼻の渇きを癒してあげたくてね

歩み寄る距離は意外にも遠く
果てのない砂の道を旅するようだ
やっと見えたと思ったら
それは 君の長い鼻だった

踏みしめるように歩めば
そこに咲く花もあるだろうに
どうして そんなに急ぐのだろう
君は君になればいいのにな
君以外のものになろうとするから
孤立する汽車に飛び乗るのかな

心に響かない声は NOISY
ちいさくても滲みわたる声に
耳をすませて
それを 胸に押し当てて
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03:18 | GOOD ! | comments (8) | page top↑

その声もなく

100度打つて
みなしごの膝を折る
腹の底まで打ち叩く
話もなく
言葉もなく
その声もなく

魂の値打ち
正しいてんびんとはかり
よるべないもの
話もなく
言葉もなく
その声もなく

こころの低い人
汚れを洗わない
パンを運ぶ車
話もなく
言葉もなく
その声もなく

あふれ出る水
すり減ったかかと
よろける歩み
話もなく
言葉もなく
その声もなく

水を衣につつみ
月は満ちることなく
こころの直ぐな風
話もなく
言葉もなく
その声もなく

くずれる膝を立たせ
裁きの台をなぞる
水のない川
話もなく
言葉もなく
その声もなく

01:48 | GOOD ! | comments (4) | page top↑

傍観者

積み重なった無造作が
ふやけきった自己規制の首をしめる
放っておいてほしい夜なのに
この風は相変わらずおせっかいだな
昨日でもなく 明日でもない
ぼくは今日のために壊れていく

ねぼけ顔の水銀灯
側溝をわたる雪どけの水
おきざりのような速さを思い知る 

揺れ動く落ち着きのない膝は
嘘をついている子供の眼のようだ
押し寄せる不安が山積する机
遠くから眺める欲のないため息
昨日でもなく 明日でもない
ぼくは今日のために壊れていく

錆びついた身の丈のヒンジ
自分しか見えない汚れた眼鏡
喜びに似た怠惰を抱きしめて

見て見ないふりの傍観者
うわの空に浮かぶ無責任
「関係ない」とは言わないが
ぼくは 3時から始まる女子マラソンの
代表選手の発表のほうが
気になってしょうがないんだな
23:53 | GOOD ! | comments (10) | page top↑

ポケットの中のげんこつ

ほこりにまみれた空を見上げ
舗道に横たわる風を見てる
ぼくはここに居るんだと
埋もれるぐらい背をのばして

ぼくは誰になるのだろう?
べつにぼくじゃなくてもいいんだよね?
しょせん絵の具が同じなんだもの
書き残すカンバスに「らしさ」なんか

咲き並ぶ道ばたの主張を
やさしさの順に並べ換えてくれ!
聞こえのいい耳にすべる灰色の風よ
ぶら下がる主張に水をやってくれないか!
乾ききったぼくの喉に「らしさ」なんか
書き残すカンバスに「らしさ」なんか

なぁ 見てごらん
こんなにも こんなにも大きくなった
ポケットの中の ぼくの げんこつを






22:24 | GOOD ! | comments (2) | page top↑

やっと気づいて

どん底に降りてゆく階段を
ゆっくりと歩いている
あいつに別れは告げてきた
約束の旅はできそうにない
立ち止まることのできる階段ではない

このまま消えてしまいたいと
思える証拠にまだ生きている
まったく往生際がわるい
雨の降る気配に眼をさまし
囚われていることに気づく

「自由」とか「幸せ」とか形の無いもの
無性に欲しくてたまらない
どうして どうしてだろう
絶望に堕ちてみる夢は
底のない湖のように果てしない

「自由」とか「幸せ」
存在するものではなく感じるものだとしたら
それは
「不自由」そして「不幸福」と感じる心の中にある
ひとにぎりの空気のようなものであり
雲の切れ間に見える一瞬の光のようなものだ

朝がくるたびに生きていることに気づく
今が「どん底」と思える「今」は
きっと「どん底」ではない

23:55 | NO GOOD | comments (2) | page top↑

奇妙な同居人

常識と非常識
同居
善と悪
ごちゃ混ぜ
奴は俺を
殺そうと
俺も奴を
狙う
奇妙な同居人

いつだって
ヤレルはず
今だって
ヤレルはず

鏡の中の
俺にそっくりな男
いや
もっと恐ろしい
存在

いやでしょうがない
だけど
好きでしょうがない
俺にそっくりな
奇妙な同居人
23:16 | NO GOOD | comments (2) | page top↑

君の座る椅子の上に

ポプラの足に腰をおろして
動かない雲を眺めている
絵空事のような毎日に
君の座る椅子がある

ぞっき屋の角を曲がると
北大通りに続く道がある
キャンパスに沢山の花が咲く
君は僕を覚えているだろうか

365日も待って
やっと咲いた花
文句なしに美しい!
そして
それは確かに
心の内側に散る

君の座る椅子の上に
静かに
しずかに
降り募る
00:33 | GOOD ! | comments (2) | page top↑

シェビーをころがして

白いおんぼろシェビーをころがして
茜色の空に続く一本の道
あの街のおせっかいには飽き飽きした
うかれすぎて はしゃぎすぎる
巷の歌がラジオから流れる
呆れたもんだと口笛をふく
風がひゅーひゅー追い越していく
ひとり取り残された気分になる

のらりくらり生きてきたから
随分たくさんのものを無くした
だけどゴミ箱に捨てちまったわけじゃない
ただ見失っただけのこと
動けばきっと風がふく
留まることは萎えることだと
酔いどれトムは教えてくれた
独りつぶやくトムのブルースを

一度きりの旅だとわかっていても
人はいたずらに生きたがる
ちっとも悪いことじゃない
道草を食い 戸惑い 雨に打たれても
金縛りにあったように走り続ける
自分を探しに旅に出るんだと
まだ見ぬ夢に ただぶらさがる
もう この街には帰らない

シェビーをころがして
 
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