子守唄2008 / 04 / 26 ( Sat )
歩道橋の上
なにかが見えるかい ビルの谷間に 靴音が響いて やさしさだけが売られる街 こころ閉ざして TVのニュース 録画のよう 何度もくりかえす 約束されるエリートの証し ただの紙切れ 桁外れのかけひき 何も見えない あのビルの向こうに 何も聞こえない 聴こえるのは ただ クラクションの歌 水で薄めた物ばかり 中身の濃いものは まるで ここぞとばかり金をつぎ込み ひとやま当てたら SAYONARA 地下鉄 痩せた浮浪者 夜 遊女の手 路地裏 横柄がはびこる 電話ボックス 泣いてる女 募金箱 善意の箱 箱のような部屋 サイレン 叫び声 BGM そう 子守唄か! 何も見えない あのビルの向こうに 何も聞こえない 聴こえるのは ただ クラクションの歌 ああ! |
母なる木霊2008 / 04 / 23 ( Wed )
なにか聴こえる
耳を澄ますと確かに それは芯があり 心臓の鼓動のように力強く 少しずつ近づき 耳のそばまでやってきて 「生きろ!」と言う わたしは いつも座っている 部屋のまん中に 風に乗って行けるほど わたしの咎は軽くない それほど小さな骸なら いつでも飛んで行けるのに 「生きる!」と叫ぶと 「生きろ!」と響く 200マイルも飛んで 海と山とを木霊する ああ!確かに聴こえる 200マイルも離れて この声が 誰の木霊か知っている わたしは壁に向かって 「生きる!」 と 叫んだ! |
MY HOME TOWN2008 / 04 / 20 ( Sun )
仕事が終わりベルが鳴ると
あの娘の待ってる店へ行くのさ 作業着のポケットに詰め込んだ愚痴たちを 今夜 あの娘の前で吐き捨ててしまおう あの娘の笑顔で オイラの働くちいさな工場は 街のはずれの川のふちにある ここではオイラも動く機械のネジさ 社長の顔色を気にしながら生きてる 貧しい心で このままじゃ イミテーションの指輪も買えない ささやかな夢さえ 押し潰される場所さ ここは I'm going out of my mind いつか ここからきっと I'm going out of my mind さよならだね マイホームタウン あの娘はオイラの夢の叶う日を 自分のことのように待ち続ける だからボス!オイラはそこには戻らない アンタの子分どもにヨロシクと伝えてくれ いつもの笑顔で このままじゃ イミテーションの指輪も買えない ささやかな夢さえ 押し潰される場所さ ここは I'm going out of my mind いつか ここからきっと I'm going out of my mind さよならだね マイホームタウン |
ママの夢2008 / 04 / 15 ( Tue )
勉強なんてできなくたっていい
しなくてもいいという意味じゃないぞ 机の上で学べるものなんか! 君の詩はなかなかだな その中で息をする君が居るね 淋しそうな君はいやだな 君のママもそう願うはずだから 塾だって家庭教師だって 君のやる気の源にある 「頑張れ!」と言えば そっぽをむく君だものね 書くということは考えることだから 君は詩の中では笑えるんだね 向き合える場所があるのだから 君は幸せだな 寄り添わなきゃ逸れてしまう 僕も同じだもの 人は弱いんだってさ ひとりじゃ生きて行けない 支える周りがあるということを 忘れないでほしいな ねぇ 自分で歩いてほしいんだな 切り開く強さをもってほしいな 勉強なんかできなくたっていい 自分らしく生きてくれたらそれでいい 机の上の教科書をちょっとずらして 「夢」を並べてみたらどうだ! 君の夢 君だけの夢を 穴があくまで 穴があくまで見つめるといい! 勉強なんてできなくたっていい 自分らしく生きるといい 穴があくほど見た後に やるべきことをやればいい やるべきことをね ねぇ 君の道は ママの夢なんだな |
更迭のオファー2008 / 04 / 11 ( Fri )
何かいいことないかな
なにかいいことって何かな 校門の前で待ち伏せする教材屋 砂場から出られない不登校の子供 ため息に気づかない幸福そうな父 傷つこうとしない利口そうな母 何かいいことないかな なにかいいことって何かな 無知を売り物にする営業マン 恩を売りつけられるNOのない部下 闊歩する懲りない靴底 すり減ることのない滑りすぎる口 何かいいことないかな なにかいいことって何かな 幸福に嫉妬する可愛げのない髭 YESじゃなきゃやり過ごす窮屈な場所 おさえなきゃ飛びそうな薄っぺらな弁 机の上にうずくまる淋しそうな通達の紙 何かいいことないかな なにかいいことって何かな 受話器のむこうにある酒臭い息 言い訳をくりかえす悪びれない口元 吐き出そうとする妻帯者の見窄らしい愚痴 飲み込んでしまう独身者の誇らしげな自由 何かいいことないかな なにかいいことって何かな 軒下にたむろするボロを纏った少年 奉仕しか受け取らない愛すべき独裁者 容赦なく責め立てる罵倒する腰 自分しか映さない快楽の水面 何かいいことないかな なにかいいことって何かな 美食を気取るヤニだらけの黄色い歯 空洞に鳴り響く更迭のオファー 隙間から抜け出ようとする曲がった正義 隙間を覆い隠そうとする真っすぐな悪意 何かいこことないかな なにかいいことって何かな 壇上に吊るされた髭面の男 神はここにありと手をあわせる腰の低い女 ここは「地獄」と思える前を行く心 ここは「天国」としか思えない浮ついた魂 何かいいことないかな なにかいいことって何かな |
踵をかえして2008 / 04 / 06 ( Sun )
誰かの小説じゃないが
正義がいつも勝るとはかぎらない 人はたくさんの嘘をつくから 口の右側がせりあがる こころなく吐き出す煙草のけむり グルメを気取ったりして いつもダンボールいっぱいの賄賂が 天国の赤いポストまでとどく 神様は忙しいな 週休2日も燃料手当もないんだから! おれは陪審員の泪をさそうため 迫真の演技に磨きをかける 黒服の男はそれにかるく頷いて 「早くしなさい!」とせかしたする 「ふん!」 おれは踵をかえして 神様にVサインをおくる |
三角窓のむこうに2008 / 04 / 06 ( Sun )
バサバサと走る
古ぼけた僕のワーゲン 三角窓のむこうに 街の声が聴こえる 菩提樹の木の下で頭をまるめて 星に願いをこめても何も変わらない 口笛をふきながら神宮前をゆく 心にぽっかり 穴があいたまま この街あの街と 思い出せばきりがない けらけらと笑う君が いつも僕の横にいた あのペテルブルグの夢想家みたいに 河を眺めて詩をうたえるわけじゃなし 三角窓のむこうの街はざわめいて あの頃と変わらない僕がいる 菩提樹の木の下で頭をまるめて 空に想いをよせても君は戻らない 三角窓のむこうの風はときめいて あの頃と変わらない街がある ただ 僕の右側がやけに淋しくて ただ 僕の右側がやけに淋しくて |
ちっぽけな憂鬱2008 / 04 / 03 ( Thu )
傷つくのが怖いなら
もう 旅なんかやめてもいいんだよ 一日中 煙草をふかしてさ 窓の外を眺めてりゃいい 「身体より老けた心を持つな」と あなたにふさわしくない言葉だな ベランダの白い鳩に語りかけていた あの夏の日の午後が懐かしいな 動こうとしないへばりついた腰 追い越して行く黒く長い貨物列車 あなたによく似た白髪の老婆を 開くはずのない錆びついたドアに見る 限りある人の寿命は 永遠に続く線路ではない やっと9合目まで来たんだもの 逆算する細い指は捨ててほしいな 淋しいな ぼくが誰だかわかるのかな? 一日中 煙草をふかしてさ 窓の外 ぼくの面影をなぞるのかな ねえ 一本の煙草で休まってしまうほど あなたの中の憂鬱は ちっぽけな ぼくなんだな |
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