自転車に乗って2008 / 05 / 30 ( Fri )
川の流れに沿って
君の働く小さな店まで 小一時間歩いたら夕陽が沈む 店の横に君の赤い自転車 ふたり乗りして 帰ろう 「ずっと一緒にいようね」って 君と指切りした エプロン姿の君が手をふる 「約束どおりむかえに来たよ」 ふたり乗りして 帰ろう 自転車に乗って 口笛を吹きながら リンリンとベルを鳴らし 僕のうちまで 帽子をかぶり おそろいのスニーカー すこし大きいスニーカー このまま時間が止ってしまえばいいと 僕は空に向かって ため息をつく ああ 野暮ったいくらい 君が 好きだ。 |
古い靴が乾いたら2008 / 05 / 25 ( Sun )
明日 風が吹いたら
君に会いに行こう 昨日読んだドストの本を 届けてあげよう 持てないものは全部捨て こんなに軽くなった 何度も雲を乗りかえる 待ちくたびれて泣きだす前に 君に本を届けよう ドストの本を届けよう 明日 雨が降ったら ここで君を歌おう 中まで沁みた古い靴の 手入れをしよう 想うほどそれは輝いて 色褪せることはない やがて夜が遠くなる 泣き疲れて眠りだすころに ぼくの靴は乾くだろう そして大地を蹴るだろう 何度も雲を乗りかえる 夢からさめて起きだす前に 君に会いに行こう 古い靴が乾いたら |
ぼくがゼロになったら2008 / 05 / 18 ( Sun )
![]() 小窓から見下ろすと 地面に映る飛行機の影がある うす気味悪くなって眼をそらすと すぐそこに大きなプロペラ 紺碧に飲み込まれ ゼロになってしまえたらな ぼくがゼロになったら 影だけは残り地上を照らすのかな 透き通った影の中に 輪郭の無い深い悲しみが サンダルをひっかけて プランのない旅をしたいな いいかげんな奴らと肩を並べて 愚痴だらけのガムを噛みながら 明日のことなんか! 人生は死ぬまでの暇つぶしだ きっとそうだよ ねえ!そうだろう? 鉄のかたまりが空を飛ぶ 上からしか見えないものがある 従うしかない旅の終わりに 今日がふさわしいのなら 下りてしまおうかな 小窓から見下ろすと 地面に映る飛行機の影がある 翼をひろげた鳥のようにも見えるが すぐそこに大きなプロペラ 紺碧に飲み込まれ ゼロになってしまえたらな |
無垢の歌2008 / 05 / 14 ( Wed )
でくのぼうみたいな水銀灯に
酔っぱらいがしがみついてる ネクタイが風にヘラヘラと笑い 折れた黒いコウモリ傘を持って ほらほら油断しないほうがいい やつらは自分に降りかかる雨さえ しのげればそれでいいんだから あんたなんか素っ裸にされちまう 路地裏のちょっと怪しい酒場じゃ ブローカーたちが高価な酒を飲んで 街角では娼婦が男たちの手をひく まだまだ眠らない抜け目のない街で ねぇ それにしても娼婦は恋をしないのか 言葉は激しい風のようで ザラザラと神経を舐めあげる さっきまでの雨がまるで嘘のように 気まぐれはいつも女だけじゃない ミリオンセラーのステキな歌を 路上に座りこんだ天使たちが唄う 奥歯に何か物がはさまって 天使たちに「ありがとう」も言えない 自分たちの言葉や魂の叫びは いったいどこまで飛んだんだろう いつだったかマルクスやヒットラーだって 自分を唄うのに躍起になってたのに ねぇ それにしても天使たちは夢を見ないのか 偽善者は雨に汚れず 正直者はどしゃ降りの中 壇上の黒服の男は酒臭い息をして 陪審員は今日も緊張感が無い ドロボーがようやく眠りだす時間に 法廷では激しい裁きの雨が降る 今じゃ警官だって弁護士だって 何をしでかすかわからないというのに 産れくる赤ん坊は揺りカゴの中で 怯えながら何を夢見るのだろう 赤ん坊は揺りカゴの中で殺してしまえばいい 君の未来に同情してしまうから ねぇ それにしても人は生きようとしているのだろうか 笑顔ほど曖昧なものは無く 人はみんな何枚も舌を持っている ホームレスだって政治家だって 誰れよりも自分が好きなんだから ほらほら油断しないほうがいい あんたなんか素っ裸にされちまう ポケットの夢や背骨まですっぽり抜かれて まるであんたの黒いコウモリみたいだ ポツポツと街に黒い雨が降る 今夜はいったい誰れの番だろう 街角の号外に雑じって 誰れかが唄うブルースが聴こえる ねぇ それにしてもなんて淋しい声なんだろう |
凸凹な影2008 / 05 / 05 ( Mon )
いつのまにか
こんなに遠くまで ひとり歩いてきた 振り向けばポプラの路に ぼくの足跡がある 5月の風がほっぺたに 暖かいな ポケットから 夢が落っこちて ずいぶん軽くなったんだ きらきらと輝く 斜めに差し込む朝の光 まぶしいな いつかぼくが写した 想い出のキャビネ 捨てきれない夢なんだな ああ! 取り戻せない距離が この凸凹の影なんだな 5月の風を握りしめて 隙間から落ちるため息を拾う 金縛りのような 強い後悔をみる この凸凹は きみとぼくなんだな きれいだな きみを想う気持ちが 強ければ強いほど 光り輝くんだな 新しい校舎 農学部に続くポプラの路 イーゼルをかかえ 寄り添うように 凸凹の影は ゆっくりと ネガの中を行く 5月の風が 暖かいな ぼくは ぼくは ここに居るんだな |
HELLO! MR.BASSMAN2008 / 05 / 01 ( Thu )
おれはパーツじゃない
休憩時間に煙草をくゆらせ 憂鬱をもみ消して 主任は朝から部長にどやされる ちいさな声で床を見詰めて 言い訳をくりかえすだけ 「代替えが居るから」と 今日も際まで追いつめられる 沸騰した殺意が ポケットのなかで肥大する 夫を殺して無実になった女が居る 普通じゃない正義がまかり通る なにが普通か解らなくなる 川のふちに建つおれの働く工場 赤と白 ストライプの煙突 咳き込みながら見上げる空に ブルースを呟いてみる 戻りたい! 作業着を脱ぎ捨てて 帰りたい! あの路地裏の Hello! Mr.Bassman おまえのベースで歌いたい Hello! Mr.Bassman Gのブルースをつま弾いてくれ 酔っぱらい相手のあの店 「自分らしくない!」と 飛び出した路地裏のあの店 すり切れた作業着 似合わないネクタイ すり減った奥歯 捨てたはずのハープに ため息を強く吹き込んで Hello! Mr.Bassman おまえは あの日のままか Hello! Mr.bassman Gのブルースをつま弾いてくれ 戻れない! 守るべき人が居る 帰れない! あの路地裏の おれはパーツじゃない 休憩時間に煙草をくゆらせ 憂鬱をもみ消して |
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