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煙草くさい母さんの手

少年はいつもより遠回りをした
紅くなった西の空を眺めながら歩いた
いつもの時刻に戻らないので
母は彼の友人の家に電話をかけたりした
いても立ってもいられず母は煙草を何本も吸った
少年は母が大好きだった
母の喜ぶ顔を見るのが大好きだった

母は医者になれとも先生になれとも言わない
ただ「自分らしく生きなさい!」と言った
少年は母にほめてもらいたかった
だからどんなツライことがあっても耐えることができた
いつもより遠い河川敷を歩いた
カバンがいつもより重かった
今日もらった定期テストの結果が最悪だったからだ

母が買ってくれたジャポニカには
生き方や夢のカタログなんか載っていない
だけどワクワクするような少年の胸に
いつも母の想いがあったのだ
父がいなくなってから母は父の代わりもした
鍵っ子の淋しさは冷蔵庫の中にもあった
冷え切った卵焼きは少年の好物なのだ

母さんは病室のベッドの上にいた
ぼくは小さくなった母さんを眺めていた
ぼくは「ただいま」と言った
ただ笑うだけの母さんだった
小さくなった母さんを背負いここを出ようと思う
そしてあの日ぼくが叱られた夕暮れに帰ろうと思う
煙草くさい母さんの手はこんなにも小さい

ぼくは「ごめんね」と言った
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14:55 | VERY GOOD !! | comments (3) | page top↑

「大好きだ」と言えば

「大好きだ」と言えば
もっと甘えてくる君だからな
だから たまに「好きだ」と言えば
よけいに胸にしみるのだ

会いたいときにすぐに会えるふたりは
いつも喧嘩ばかりするだろう
だけど たまにしか会えないぼくらは
会えるときを楽しみに生きられるのだ

ぼくはいつも君だけを見ている
忙しそうにすぐ切ってしまう君との会話を
君は不愉快そうに眺めるのだろう
だから 少ししか話すことのないその時間を
君は握りしめたまま歩くのだ

大好きだと言えば
すぐその気になる君だからな
だから いつもぼくは遠くから君を眺めたりする
「大好きだ!」と声に出して言えば
泣いてしまうのはぼくだからな
10:26 | GOOD ! | comments (3) | page top↑
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