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捨て去るものを抱いて〈再投稿〉

外套の襟をたてて
わたしは海のある街を目指していた
中也の詩集をポケットに入れた
空席の目立つ夜汽車に乗った
こころ踊る旅ではなく
過去を捨て去る場所を探して

海のある街は静かだった
ターミナルが駅の前にあった
バス停のベンチに座り込んだわたしは
緑色の車両を眺めていた
それが最終のバスであることを知ったとき
わたしは空に足かせのような風を見た
寒い夜だった

時刻表に眼をやり始発の時刻を確かめた
まだ遠い春の朝には少し間があった
薄暗い月灯りを探した
ポケットの彼を呼び出した
相変わらずそれはいつもの中也で
旅の友と呼ぶにはとても眩しい
ふるえながら口ずさむ歌のように
汚れちまったかなしみは
長く遠い朝だった

わたしは次の街を目指してバスに乗った
次の街に待つ人など居ないことも
紛れるにはちょうどよい場所だろうか
ただ静かにたたずむ時のなかで
わたしは風に問いかけるのだ
バスの窓から捨ててしまおうと
過去という重い荷を取り出してみる
しかしそれはとても寂しそうな顔をして
わたしの指から離れない
躊躇するわたしのこころに
刺さるような風が吹く
遠く寂しい途だった

わたしは生きていた
どこから見てもわたしだった
捨て去るものを抱きしめるとき
わたしはわたしになったのだ
もうこの旅を終わりにしようか
紛れて生きることはない
そんな場所などないのだと

捨て去るものを抱いて
わたしはわたしになったのだ
わたしの指から離れようとしないそれは
わたしそのものだったのだ!
バスを降りよう
降りてしまおう

捨て去るものを抱いて



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10:40 | VERY VERY !!! | comments (6) | page top↑

風は知っていた

靴を履いた犬を見た
窮屈そうな服を着ていた
幸福そうなのは飼い主のほうだった
犬はすこし太っていた
重そうなカラダをもてあましていた
やはり飼い主も太っていた
納得できる絵だった

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった

営業マンの靴は泣いていた
けして報われる朝は来なかった
すり切れるのは靴底だけじゃなかった
今日もついに心を売ることはできなかった
モノを売るのは好きじゃなかった
思ってもいない世辞を並べた
寒い寒い夜だった

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった

ハイヒールの音がした
ときめきのない誘惑だった
愛がなくても昇りつめた
金縛りはながく続いた
髪の長い女だった
空しい夜を強く抱いた
ぼくは棒になった

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった

脅迫は続いた
どこに行くのか北は孤立した
動かない左手に託す夢はなかった
YESと言わなければ人びとの明日はなかった
そんな明日なら来なきゃいいと思った
王様の瞳は曇っていた
箱舟などなかった

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった

ぼくは君のなかにいた
君はぼくの外側を濡らしていた
内側に染み込む愛がほしいと思った
まるでダダをこねる少年だった
出て行く街に鳥が啼いた
ひとりぽっちの小鳥だった
ぼくはぼくを抱いた

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった

風は今日も吹いていた
「幸福か?」と訊かれて戸惑った
すぐに答えてしまえばきっと楽になれた
思わせぶりな嘘は人を傷つけた
平等だと叫んだら不平等が降ってきた
思いやると泣いてしまう風だった
だからサヨナラだった

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった


01:28 | VERY VERY !!! | comments (9) | page top↑

あの山のてっぺんから

おれは
口でしゃべるより
こころでしゃべるほうが
ずっとおしゃべりだ

こころが
勝手にしゃべるんだ

あの山のてっぺんから
雪が消えるころにね
きみを迎えに行こうかな

いまはまだ雪んこの中
おれは凍えちゃいないよ
遅い春になるのかな

あの山のてっぺんから
雪が消えるころにね
22:37 | VERY GOOD !! | comments (0) | page top↑

自問

みんな同じなんだな
ぼくだけじゃない
同じ夜を抱えている
そして朝がくる

初めが肝心なんだと思う
今は全部過去のせいだという
ちがうよ 自分がつくった過去だもの
だからさ 今をつくれば明日は明るいだろう

気づいたときがスタートだよ
ずいぶん遅いスタートだな
気づけるだけいいんだってさ
気づけないひとだっているらしい
平等なんてないよ
同じってそういう意味じゃないよ

わかってるさ
いや わかってない
そうかもね
02:30 | GOOD ! | comments (0) | page top↑

ダイジョウブ

凶暴さはときに滑稽で
笑っちゃうよ
優しさはときに凶暴で
困っちゃうよ

思考のない言葉は薄っぺらで
チカラを入れる場所をキミは知らない
ヘタクソな翻訳のように重複する単語は
ちいさなキミをさらにちいさく
おおきな恥をさらにおおきく

子供は子供らしいほうがいいよ
ボクはボクらしくするから
ねえ?
大人になんか憧れてないよね?
大人になんかならないほうがいい
頭ばかりデカくなった大人
アゴのまわる滑稽なキミ

ダイジョウブ
キミはジュウブン子供だ
凶暴で滑稽な子供だよ
笑っちゃうよ

笑っちゃうんだよ
17:41 | GOOD ! | comments (0) | page top↑

それがホンモノのぼくの空だった

ずっと眺めていたんだ
ニセモノの蒼さをまとった空
ぼくは渇いていたから雨も欲しくなった
だからしみ込んだものを抱きしめながら寝た
朝がくるといつもニセモノの蒼さがぼくの上にある
ずっとそれを抱きしめていたんだよ

インディゴのシャツを着た空
それがホンモノのぼくの空だった
色のないなにもないよるべない雲が
ぼくに唄えと語りかけてくる
風の上に書いた文字は雨に飛ばされ
また書いてそしてまた飛ばされた
逃げまわるのはもうやめよう
ぼくを探してほしい
好きなひとを選ぼうとするより
ぼくを好きだと言ってくれるひとを愛せばいい
それがいい

もう野球帽を深くかぶり顔をかくして歩くことはないのかい?


05:23 | VERY GOOD !! | comments (0) | page top↑
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