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ロマンティック通り

ロマンティック通りに面したアトリエの
古い木の椅子に座りながら
詩人は自分の吐き出した煙草のけむりを
ぼんやりと眺めていた
よく磨かれた窓ガラスが風に揺れるたびに
詩人は待っていた恋人が来たかのように
「はい」と応えるのだった

詩人は古い万年筆を使っていたが
きっとそれにはきちんとした理由があるのだろう
「蒼いインクの沁み具合がいい」とか
「ペン先にかかる力が絶妙なのよ」と しかし
それを使う本当の意味が他にあることぐらい
私にはわかるのだ
師走は駆け足でやってきて
きっと駆け足で過ぎてしまうだろう
「ロマンティック通り」 . . . . . .
恋人たちが手をつなぎながら歩く舗道
イーゼルにかかる古い油絵のような
静寂の中にたたずむ想いを胸に

  いつからだろう?
  母はあの人の話をしなくなった
  あの日 ひとりぽっちで旅に出て
  ひとりぽっちで死んでいった戦士のことを
  風になびく白い絹のマフラー
  どこまでも鳴り響く旅立ちの歌
  紺碧の空
  白い髪をかきあげなながら
  自慢するようにしゃべる母は . . . .
  80歳を越えた
  私のいう「詩人」とは母のことだが
  母は詩など書いたこともない しかし
  描こうとする想い出という絵の中に 私は
  高尚なる母の「詩人」を見るのだ
  アトリエなどあるはずもないのに!

ロマンティック通りにある白いアトリエ
古い木の椅子に座りながら
詩人は今日も煙草をふかす
よく磨かれた窓ガラスが揺れるたびに
待っていた自分を迎えるように 
「はい」と応えるのだった
20:59 | GOOD ! | comments (1) | page top↑
笑ってる | top | 路面電車と僕と

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by: | 2008/12/05 02:27 | URL [編集] | page top↑

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