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バス通りギター工房

だらだら坂を登り一息つくと
古い民家の並ぶちいさな街がある
そこだけがまるでちがう国のようだと
サングラスに映る街を眺めた
時を抱きしめる避暑地のように
この街は静かだ
ぼくは角にあるカフェの椅子に座り
登ってきた坂に眼をなげる
かげろうの立つアスファルトに
青くて古いバスが見えた

日曜の朝という絵の中にいるぼくは
これっぽっちの憂鬱に浸るぼくではない
日常というリアルの中で眼を吊り上げるぼくに
約束のない一日を楽しめという
ここはバス通り


どこだ?
トントントントン
風の中にひびく渇ききった音
ぼくは音のする方に歩いていった
コンサートホールのような静寂
なつかしい風がしのびこむ
トントントントン
だんだん近くなってくる
路地のどんつきに白いワーゲンバスが停まっていた
木でできた縦長の窓をもつ古い家だった
「OLD GUITAR WORKS」という看板がみえた

こんなところにギター工房
ヒゲをたくわえた長身の男のひとが中にいた
眼が合ったのでぼくはコクンと頭をさげた
やさしそうなひとだった
「なにか?」と訊かれたので 
ぼくは
「ギターを作るんですか?」と訊いてみた 
かれは笑いながら
「買ってくれる人がいればね」と言った

かれはぼくに工房の中を見せてくれた
洋館のような白いアトリエだった
古いが手入れのいきとどいた工房
制作よりも修理のほうが多いのだという
年代物のD-28 トップの割れた赤いギルド
ネックの折れたウクレレ 溜め息でそうなOLD GIBSON
調整を待つたくさんの患者たちがいた
「捨てることができないんだろうね、これから生き返る患者たちさ」
と, 眼を細くする
「患者?、生き返る?」
「そうだよ、再生できる人生 . . . . . 」
ぼくはうなづくことにみょうに律儀だった
かれは
「大変だよ、けっこう . . . . 」
と、笑った


だらだら坂を下り橋を渡るとぼくの家がある
無性に家に帰りたいと思った


ぼくはギターケースの中にいた。






01:05 | VERY GOOD !! | comments (8) | page top↑
雪にあぐらをかいて | top | 今日ぼくであること

コメント

# 千の風になって
こんばんは。
戯曲、ん~戯曲のような作品ですね。
読んでみて、千の風になっての詩が私のなかに吹いてきました。
人間としての役割を終えたあと、風になり、吹きわたる。
そして、色々なものに生まれ変わる。
死と再生の詩。
初めに読んでみての印象です。
再読し改めてうかがいます。
by: t.gray | 2010/03/27 21:57 | URL [編集] | page top↑
# 再生ですよ。
t.grayさん、コメントどうもですね。
みんなボロボロになって、再生できることを望んでいる。
やりなおせるはずの人生。そうでもない人生。とんでもない人生。
再生したいかどうかですよ。全部自分しだい。
考え方のミナモトにそれがあるかないかだと思いますよ。
ギターケースのなかにいるボク。
この作品にコメントいただきアリガトウ!



HOBO
by: Mr.HOBO | 2010/03/27 23:31 | URL [編集] | page top↑
# こんにちは。
 再読し、ここが良い、そこが良いと語るにはおよばない
ギターとぼくの世界ですね。
 寓話、寓話詩ですね。

 ところで、私には幾つかの夢があります。  
私の夢、この私の夢を知った方達は皆、一様に驚きますね。どの様な驚きかあ、それはヒミツで~す。
by: t.gray | 2010/03/29 15:39 | URL [編集] | page top↑
# t,grayさん
夢ですか。

先日、ある生徒に「夢はあるか?幸福になりたいと思うか?」
と訊いたら、「夢もないし、幸福にもなりたいとは思わない」
と言われました。HOBO得意の夢から現実の話をし、やる気を
出させようとする作戦も失敗に終わり、そんなの嘘だろ!と
生徒の頭をなでてきました。
夢を知ったひとが驚く、いったいどんな夢なんでしょうね、
ヒミツと言われればなお知りたい。まあ、夢はそれぞれ。
おのおのでございます。

HOBO
by: Mr.HOBO | 2010/03/31 00:19 | URL [編集] | page top↑
# 夢…あるかなあ。
わ~。t.grayさんの、人が聞いたら一様に驚くような夢、って
なんでしょう。気になりますよね、HOBO さん。
私の夢は、実現不可能かなあ。それも秘密、です(笑)。

ギターを再生するように、人の人生も再生できたらいいんですけどね。
できますかねえ。勇気があればできるのかな。

ずうっとずっと昔、子供がバイオリンを習っていて、バイオリンの具合が
悪くなったとき、渋谷の雑踏がすぐ近いとは思えないほど静かな住宅街の中に
ある、バイオリンの工房、子供と二人で訪ねたことがありました。
暗渠となった川べりの道をとおって住宅街の細道に分け入った路地の奥に
その家はありました。普通のお家。でも中は工房で、作りかけのバイオリンが
いくつも、ありました。
その時の日差しの感じや何かを思い出してしまいました。
ギターも-バイオリンもフォルムが美しいですよね。

ああ、私も誰か再生してくれないかな。
あ、自分でやらないとだめですね(笑)。
by: 彼岸花さん | 2010/04/01 11:55 | URL [編集] | page top↑
# 彼岸花さん
再生してるんですよ、きっと彼岸花さん。
毎日が再生の連続だと思いますね。
この作品は「パリ左岸ピアノ工房」という小説からヒントを
もらいました。バイオリンとかピアノとかギターもそうですけど、
いいですよね、ひとのこころが入り込む隙間がある。こころを
いれないと鳴ってくれないですもの。再生というのはこころを
いれる作業のことかもしれず、どんなことにも当てはまる大切な
ことのような気がします。こころのない文章にはこころ動かず。
「再生」というテーマで書いた作品にコメントいただきとても
うれしいです。そうなんですよ、なぜか奥まったところに工房は
あるもので、なにか共通の想い出があるのですね、彼岸花さん。
ありがとうございます。

HOBO
by: Mr.HOBO | 2010/04/02 00:02 | URL [編集] | page top↑
# No title
『毎日が再生の連続…』

ほんとうにそうですよね、HOBOさん。
共に再生していきましょう! 勇気を持って。粘りづよく。
by: 彼岸花さん | 2010/04/02 23:46 | URL [編集] | page top↑
# 再生ですよ。
そうです、
ペースの遅い脱皮をくりかえし。
あじのある抜け殻、芸術のような抜け殻を目指し!
さあ!再生だ!
共に!

彼岸花さん、再生だっ!

HOBO
by: Mr.HOBO | 2010/04/03 11:46 | URL [編集] | page top↑

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