スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:-- | スポンサー広告 | page top↑

母さんがウソをついた

朝刊を配り終え
ぼくはため息をついた

昨日の夜 
母さんに叱られたことを
思い出したからだ

「ウソはいけない!ウソは卑怯なやつがつくものだ!」

宿題のノートを先生に提出しないで
その理由をノートをなくしたと
ぼくは母さんにウソをついた

「ちぇっ!」

母さんとふたりで暮らした
母さんの苦労は知っていた
父さんが出て行ってから
ぼくは母さんが泣いているのを何度も見た
母さんが泣くのは口惜しいからだ
悲しいからじゃない
だから ぼくは
新聞配達をして母さんを助けるんだ!
5年生の春だった


配達を終え
ぼんやりと歩く道 ぼくは
どこの家にもある牛乳の箱を眺めた
佐藤さんの家にも内村さんの家にも

ぼくは辺りを見渡して
佐藤さんと内村さんの家の牛乳箱から
牛乳を盗んで飲んでしまったのだ!

しっかりと目撃されているのにも気づかずに!


母さんはぼくの手をひっぱって
小学校に続く坂道を
一言もしゃべらずに歩いた
ぼくをひきずるように

「ごめんよ、ごめんよ母さん」
母さんの横顔をうかがった
なにもしゃべらない
ただ 握る手が痛かった


校長先生の部屋はタバコの匂いがした
と思ったらちがった
母さんが部屋に入るまえ思い切り吸った匂いだ
おおきな椅子があった
眼のまえに白いヒゲがあった

「どんな教育をしてるのですか?」
と、校長先生が母さんに訊いた
横にいた女の事務員が席をはずした
「はぁ?どんな教育?なんですか?」
母さんは校長先生をにらみつけた
校長先生は困った顔をして
「盗みはいけないことでしょう!
 おたくの息子さんが盗みをはたらいたのですよ!」
ぼくは胸が痛かった

「校長先生、うちの息子はやってませんよ。
 するわけないじゃないですか?
 なんでうちの子が!ふん!」

ぼくは、頭をひざにぶつけながら
「ごめんよ、ぼく、やったんだ、
 もうしないから!校長先生ごめんなさい!」
何度も何度もあやまった

母さんはぼくの手を握りながら

「だまってなさい!おまえは!
 校長先生、やってないんですよ。この子。
 もういいですか?忙しいんで、わたし。」
と言って母さんは、立ち上がりぼくの手を引いた
三角な眼をして

母さんはウソをついたんだ

ぼくのためにウソをついたんだ
ぼくは、それ以来
絶対ウソはつかないと誓った
そして二度と悪いことはできないと思った
母さんがぼくを信じてくれたからだ!
ぼくは独りじゃないんだ!


あのね
古くなっても色褪せないものってあるよね
それどころか逆にひかり輝くもの
それが想い出だ
想い出のあるぼくは幸せだ
想えば想うほどひかり輝く宝物を
抱きしめながら歩いていきたいと思う

母さんがウソをついた

ぼくは忘れない

ありがとう
13:17 | GOOD ! | comments (10) | page top↑
失明した犬を知ってるか? | top | にぎやかな街をぬけて

コメント

#
心が痛むショートストーリーですね。
でも、母の温かみをすごく感じるお話でした。

きっとそんな親が、いい子を育てるんだろうな。
最近の大人は、ちょっと子供。
そんな私も、もう28ですが(汗)

では、応援ぽち。
by: 椎名 果李 | 2008/10/08 21:00 | URL [編集] | page top↑
#
アンマーという曲をご存知ですか?かりゆし58沖縄在住のバンドが母への感謝の気持ちを素直な自分の言葉で歌った曲です。いつでもどんなときでも自分を信じて深い愛情を注いでくれた母への思いを詩にし歌った曲です。この詩はその歌に似てます。母の愛情の強さと大切な事を思い出させてくれる詩ですね。お母さん大切にしてください。
by: SystemAdmin | 2008/10/08 22:58 | URL [編集] | page top↑
# 果季さん
ぼくの仕事がね、親と子の間でする仕事なもんで、
信じてあげないと子供が可哀想と感じたから。
書かずにいられなかった、みたいな?
ありがとう!
by: Mr.HOBO | 2008/10/08 23:45 | URL [編集] | page top↑
# アンマーですか?
知ってますよ、きのう見ましたんで。笑
不良なやつがバンドやってるんですよね。かれは
こころが真っすぐ、ねじれすぎて、一周して戻って
きたんだな、きっと。
by: Mr.HOBO | 2008/10/08 23:49 | URL [編集] | page top↑
#
こんばんは。
私のブログに立ち寄って頂き
さらに、コメントまでありがとうございました(^-^)

自分が悪者になっても
身をもって子供に嘘がいけないものだって教える・・・
親の愛の凄さも感じるし、
それを分かる事が出来た子供もえらいですね。

ニュースによると
9月だけで実の母親が子供を殺した事件が6件もあったのだとか。
せちがらいってだけじゃ済ませられませんね。
子を思う親の愛、親を思う子の愛・・・
時代が変わっても大切な事を
大人自身がもう一度見直さなきゃなりませんね。。。
by: 夢乃咲道 | 2008/10/09 01:46 | URL [編集] | page top↑
# こんばんわ!
ありがとうございます!
猫の話から、子殺しの話。
十勝の空はどんなでしょうか?
こんなブログですが末永く。
また遊びにいきますんで、にゃんこさんに
達者で暮らすように!笑
HOBO
by: Mr.HOBO | 2008/10/09 01:57 | URL [編集] | page top↑
# 初コメです☆
先日はコメントありがとうございました。
とても嬉しかったです♪

この詩を読んで、思わず涙ぐんでしまいました・・・。
子どもってこうやって育てていくんだな・・・。
当たり前のように叱るよりもよっぽど効果があるんだな・・・って教えられた気がしました。
HOBOさんありがとう。
by: 夕月 | 2008/10/09 15:16 | URL [編集] | page top↑
# 素敵な詩ですね^^
タイトルと詩の流れから
大人だって嘘をつくじゃないか
ってゆう矛盾を歌う詩かと想像していたのですが

こんな素敵な逆転劇があるなんて
感動しました^^

とても胸を打たれました
暖かくて、せつなくて
まっすぐで、純粋で

いつもありがとうございます
by: 愛音 | 2008/10/09 20:06 | URL [編集] | page top↑
# ありがとう!
愛音さん、いつもありがとう!
たまにこんなのもいいかなと思って。笑
詩っていいよね、どんな世界にだって生きることが
できる。考え、想い、表現することって素晴らしい!
ありがとう!            HOBO

by: Mr.HOBO | 2008/10/09 23:30 | URL [編集] | page top↑
# こんばんわ!
夕月さん、ありがとう!
教育って難しいよね。笑
ぼくの仕事がそんな仕事なんで、いつも考えることは
手を抜きません。踏み込んで、傷つけず、愛されたいと
思えば愛さないとね。笑
ありがとね!また来てね。
by: Mr.HOBO | 2008/10/09 23:35 | URL [編集] | page top↑

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。