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根の太い古木の下で

そこに行こうと思う
わたしはそこにあるものに触れたいと思う
それはとてもやわらかなもので
風になびくタンポポの綿毛のようにも見え

寄り添う古木を探した
何年もそこにある根の太い古木は
なめらかに流る河のふちに立っていた
見守るように垂れるハルニレの木
そこに行こうと思う
そこにあるやわらかなものに
そっと触れてみたいと思う

根の太い古木の下で育つものは
想いが重なる歌のようにも聴こえ
わたしは胸の前で手を合わせ
そこで糸のような声を聴くのだろう
そこに行こうと思う
やわらかなものに触れたいと思う
日常というわたしだけの誇りを
埋もれそうになるほんとうのわたしを
そこで広げてみたいと思う

そこに行こうと思う
根の太い古木の下に
やわらかなものに触れたいと思う
根の太い古木の下で

根の太い古木の下で




02:28 | VERY VERY !!! | comments (4) | page top↑

風はさすらいの唄に似て〈再投稿〉

どれぐらい経つだろう
この街と暮らして
地下鉄駅の近くで
ペットが飼える部屋がいいと
君と不動産屋をまわった

少し震える肩を抱いて
合鍵を確かめて
一緒にゴミを捨てに行き
いってらっしゃいのキスをして
連名で判をおした支払い計画書をながめて
僕はささやかな覚悟をした

戻れない旅だと
心のなかで何度も繰り返した言葉を
カンバスのうえに並べた
ぎこちない共作の上を吹き抜ける風は
さすらいの唄に似て

ひとり暗い部屋のドアをあけ
君の靴がないことに気づいた
右下がりの君の文字がうずくまる
この部屋の広さを思い知る

ベランダから見下ろす街に
ちいさく見えるバス停に
君の面影をさがしてみる
いまから追いかければまだ間に合うのに
そうしない僕の後ろめたさに

どれぐらい経つだろう
この街と暮らして
何も変わらない街の灯りに
何も変わらない僕の暮らしに
眼の下に広がるささやかな団欒の灯り
深い眠りについたこの街に
ひとつだけ消し忘れた家の灯りがある
あれが僕たちの団欒なら
そんなことを
そんなことを想いながら

あした この街を出よう
面影と暮らす君の猫を抱いて
そう 君と歩いた河川敷のふもとに
そっと 合鍵を捨てていこう

風はさすらいの唄に似て




07:26 | VERY VERY !!! | comments (17) | page top↑

捨て去るものを抱いて〈再投稿〉

外套の襟をたてて
わたしは海のある街を目指していた
中也の詩集をポケットに入れた
空席の目立つ夜汽車に乗った
こころ踊る旅ではなく
過去を捨て去る場所を探して

海のある街は静かだった
ターミナルが駅の前にあった
バス停のベンチに座り込んだわたしは
緑色の車両を眺めていた
それが最終のバスであることを知ったとき
わたしは空に足かせのような風を見た
寒い夜だった

時刻表に眼をやり始発の時刻を確かめた
まだ遠い春の朝には少し間があった
薄暗い月灯りを探した
ポケットの彼を呼び出した
相変わらずそれはいつもの中也で
旅の友と呼ぶにはとても眩しい
ふるえながら口ずさむ歌のように
汚れちまったかなしみは
長く遠い朝だった

わたしは次の街を目指してバスに乗った
次の街に待つ人など居ないことも
紛れるにはちょうどよい場所だろうか
ただ静かにたたずむ時のなかで
わたしは風に問いかけるのだ
バスの窓から捨ててしまおうと
過去という重い荷を取り出してみる
しかしそれはとても寂しそうな顔をして
わたしの指から離れない
躊躇するわたしのこころに
刺さるような風が吹く
遠く寂しい途だった

わたしは生きていた
どこから見てもわたしだった
捨て去るものを抱きしめるとき
わたしはわたしになったのだ
もうこの旅を終わりにしようか
紛れて生きることはない
そんな場所などないのだと

捨て去るものを抱いて
わたしはわたしになったのだ
わたしの指から離れようとしないそれは
わたしそのものだったのだ!
バスを降りよう
降りてしまおう

捨て去るものを抱いて



10:40 | VERY VERY !!! | comments (6) | page top↑

風は知っていた

靴を履いた犬を見た
窮屈そうな服を着ていた
幸福そうなのは飼い主のほうだった
犬はすこし太っていた
重そうなカラダをもてあましていた
やはり飼い主も太っていた
納得できる絵だった

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった

営業マンの靴は泣いていた
けして報われる朝は来なかった
すり切れるのは靴底だけじゃなかった
今日もついに心を売ることはできなかった
モノを売るのは好きじゃなかった
思ってもいない世辞を並べた
寒い寒い夜だった

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった

ハイヒールの音がした
ときめきのない誘惑だった
愛がなくても昇りつめた
金縛りはながく続いた
髪の長い女だった
空しい夜を強く抱いた
ぼくは棒になった

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった

脅迫は続いた
どこに行くのか北は孤立した
動かない左手に託す夢はなかった
YESと言わなければ人びとの明日はなかった
そんな明日なら来なきゃいいと思った
王様の瞳は曇っていた
箱舟などなかった

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった

ぼくは君のなかにいた
君はぼくの外側を濡らしていた
内側に染み込む愛がほしいと思った
まるでダダをこねる少年だった
出て行く街に鳥が啼いた
ひとりぽっちの小鳥だった
ぼくはぼくを抱いた

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった

風は今日も吹いていた
「幸福か?」と訊かれて戸惑った
すぐに答えてしまえばきっと楽になれた
思わせぶりな嘘は人を傷つけた
平等だと叫んだら不平等が降ってきた
思いやると泣いてしまう風だった
だからサヨナラだった

「幸福か?」と訊いた
答えは風のなかにあった


01:28 | VERY VERY !!! | comments (9) | page top↑

はないちもんめ

あなたが欲しいと言われたら
俺ならすぐに飛んで行くだろうな
俺を選んでくれた人を
大切にしたいと思うからね
べつに俺じゃなくていいんなら
ちがう場所を探してくれないか?
もう 金縛りにあわなくてもいいと思うと
これきり サヨナラも素敵だな

自分らしいっていいよね
自分っていったい何なのかな?
選択することにこだわることは
自分らしくあることかな?

    あなたが欲しい
    はないちもんめ    

シンプルがいいな
いらないものを捨てようかな
少し軽くなったら
俺を選んだ人と手をつなぎ
河川敷でも歩こうかな
帽子が風で飛ばないようにね
前かがみで歩こうか

同じように見えるたくさんの人を
同時に愛せるといいのにね
でも選ばれた人はみんな眉をひそめて
淋しそうにうつむくのかな

    あなたが欲しい
    はないちもんめ

あなたが欲しいと言われたら
俺ならすぐに飛んで行くだろうな

サヨナラも素敵かな

はないちもんめ
03:26 | VERY VERY !!! | comments (8) | page top↑

足で跨げる川

わたしはわたしの表現で
しばらくの間あなたを見捨てたが
こうして風を集めてみると
なぜか怒りすら湧いてこないのだ

わたしはあなたの石を
宝石に変えることなどできない
山が移り丘が動いても泣かないでほしい
なぜならわたしの愛はどこにも移らず
いつかこの川の流れに身を投げる
抜け殻になることもなし
渇いているものは皆
わたしの川に集まるといい

わたしの川はあなたの川よりも細く
足で跨げるように主は創られた
小石が泣いているように見えたが
それはわたしの想いすごしで
泣いているのは自身の水面
水はとても冷たい

砕かれた人のこころを生かすために
争わず 怒らず おごらず
むさぼりの罪を許すために
ちかくの者遠くの者どちらにも
荒れ狂う風に問う水のごとく
足で跨げるわたしの川に
一滴の泪を溶かし
明日になる水として
この手 合わせ

主よ

飢える者にパンを

悩む者に本を

病んだ者に言葉を

争う者に母の水を

悲しむ者に歌を

貧しい者に光りを

ああ!

わたしの川に集まってくれ
いつでもわたしを跨いでくれ
そしていつか血を洗う日は
わたしの水を使ってほしいのだ!

わたしの川に集まってくれ
いつでもわたしを跨いでくれ
そしていつか血を洗う日は
わたしの水を使ってほしいのだ!




19:07 | VERY VERY !!! | comments (3) | page top↑

声をかけてほしかったのに

あのとき声をかけてもらいたかった
闇のなかで心を折りたたんで枕にして寝た夜
そのとき声をかけてほしかった
要求は決して金だけではない
ぼくが折れていたとき
声をかけてほしかった
人は金だけ与えておけば生きられるのか?
人はなんのために働くと思う?
声をかけてもらいたいのだ

ぼくはダッフルコートにくるまって寝た
体育館の床は底冷えがするほど冷たかった
ぼくは一本しか立っていない携帯の灯りを見つめていた
声をかけてもらいたかった
かけ続ければ奇跡的につながる夢をぼくは信じていた
午前4時になってもぼくはあなたからの連絡を待っていた
「頑張れ!」のひと言だけでぼくは有頂天になれるのだ
人はみんなあなたが思うより一途だということに気づいてほしい
万札を何枚稼いだってそれを使うコンビ二がない
車を飛ばして帰ろうとしたがガソリンがない
立っていたたった一本の期待もいつのまにか消えていた
ぼくはなぜあの街にいたのだろう?
なぜぼくはあなたに夢を見たのだろう?
なぜ辛くても頑張れたのだろう?

ぼくは奴らとはちがうのだ
ぼくはあなたの機嫌をとって生きようとは思わない
ぼくは今 あなたから声を声をかけてほしいとは思わない
ぼくはあのとき声をかけてもらいたかったのだ

あのとき声をかけてもらいたかった
闇のなかで心を折りたたんで枕にして寝た夜
そのとき声をかけてほしかった
要求は決して金だけではない
ぼくが折れていたとき
声をかけてほしかった
人は金だけ与えておけば生きられるのか?
人はなんのために働くと思う?
声をかけてもらいたいのだ

声をかけてほしかったのに


01:39 | VERY VERY !!! | comments (2) | page top↑
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